no title 葛布帯 五寸幅 2018年制作
当初、幅四寸、半幅帯地を織ろうと思って準備した後に、貴重な竹筬を譲っていただいて、どうしてもそれをすぐに試したく、筬通しをやり直して織った品。ゆえに五寸幅となった。従って、柄も計画より間延びしたのだと思うが、今となってはどちらでも良い。
この辺りから機械製糸の糸から座繰り糸に徐々に切り替わっていったのだが、この帯で使っているのは機械製糸による「ビス糸」、良く聞く「キビソ」の反対側、お蚕さんが最後に吐き出す、一番蛹に近いところにあった糸である。そういえばこれがビス糸を使った最後の作品かもしれない。
柄は、アイヌ民族の衣装で珍しく水色の入っているのがあって、綺麗だなと思い、色合いや縞模様のサンドイッチ加減を真似した。
分かりにくいが、縦方向に絣括りの方法で染め分けた糸を使っており、明るくなるところに部分的に格子文様を入れている。
遠目で見ると、日の当たる場所だけ柄が浮き出ているように感じられる。同じ方法で2作目を織りたいと思いながら、もう5年も経ってしまった。
当然ながら売り物には出来なかったので、自分用の実験用にし、何度か実際に締めてみた。その際、折り目や締めたシワがほとんど残らないので驚いた。
そういえば他の、機械製糸による糸の帯も、シワはほとんど残っていない。「機械製糸による糸」の特長なのかもしれない。
座繰り糸を経糸にして織った場合、折り目やシワはつきやすく、完全に取れることも、ほとんどない。それでも私は座繰り糸を使う、その理由は、長くなるので会場で。
巾 五寸三分
丈 一丈
緯糸 葛手績み糸(北海道)
経糸 絹ビス糸 機械製糸による
染め 団栗、藍、茜(赤麻?)、葛