葛布八寸帯地 待宵草

庭のメマツヨイグサで染めた糸を主軸に、メマツヨイグサの生きる様子と四季を織り込みたく制作した

メマツヨイグサ一年目

地中深く根を張り力を蓄え 翌年一気に伸び、鮮やかな黄色の花を日暮れ後に咲かせ、翌朝にはしぼむ。花は夏の終わりから雪の降る頃まで ずっと咲き続け 種を作り続け、落とし続ける。開花と結実が時間差で次々と起こっていく。

こんなにはっきり花が開いているのは夕方〜早朝にかけて。日中には萎む

ひとつひとつの花は儚いが 皆が力を合わせて大量の種を残し 次代に繋げる。

雪の降る頃までずっと花を咲かせていたのには本当に驚いた。なんという粘り強さだろう。

そんなメマツヨイグサは ベニスズメの幼虫の食草。
幼虫は葉と未熟な種を食べ蛹になり 翌春 ピンク色の翅を広げて飛び立つ。

染めた糸は 濃いグレーの中に紫が潜む。
ベニスズメの翅の色の ベースにもなっているのだろうか。

右:メマツヨイグサ染め 絹 座繰り糸
右:メマツヨイグサ染め 座繰り糸。ベースに紫がある微妙な色合いは、添わせる糸の色味により、前面に出る色が違って見える。写真は色味の自動調整のための違いでもあるが、実際もこのくらい違うように感じる

お太鼓とお太鼓裏。リバーシブルでお使いいただけるようにしている。

お太鼓
お太鼓裏。こちらを表側にして締めても良いと思う

お太鼓〜前帯の間は大きな格子
紫ベースのメマツヨイグサ染めの糸の合間に、花の色の黄色、そしてベニスズメのピンク

前帯中心あたり

経糸は節糸を主に使っているので全体的にワイルドな印象

周りにピンクや紫がないとメマツヨイグサの紫は影を潜め、茶に近い色味に見える

メマツヨイグサの生き様にすっかりファンになってしまいblogにもその経緯を書いている
https://sessou-kuzunonuno.tumblr.com/post/627558204153397248/

開花の瞬間にも驚いた
https://sessou-kuzunonuno.tumblr.com/post/626613000943681536/


その生き様を、写しとれただろうか

緯糸 葛 手績み糸(北海道札幌市)
経糸 絹 座繰り糸(群馬県安中市)
染め メマツヨイグサ、藤、ラックダイ、ドングリ、ふきのとう + 生成り
  八寸一分
  一丈三尺三寸

2024.3.22 こちらの帯地は現在ご購入が可能です。お問い合わせはcontactよりお寄せください。storeにも掲載しております。