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葛布半幅帯地 縁

以前読んだ本の中で、文様の起こりについて、作るモノの境界線や縁(フチ)を何らかの形で飾ることは、ヒトがものを作るようになったかなり初期の段階から行われていただろうということを読んだ。全くその通りだと思うのは、私もしばらく無地を織っていて、今回も無地を織るつもりだったのだけど、ついどうしてもやりたくなってしまって縁取りしてしまったからです。縁(フチ)に何か施したくなるのは人間の性なのか。呪術的な要素が加わるのは随分後になってからなのではないかと予想する。

葛布半幅帯地『縁』

「縁」は フチ であり、ご縁の エン でもある。
その響きは「円(エン)」にも繋がる。

葛布半幅帯地『縁』

ご縁 縁側 めぐり 巡り合わせ 繋がり 縁起

元は「衣服のフチ、そこにつけられた垂れ下がるもの(飾り)」を意味する言葉であり、それが「端っこ」と「繋がること」の二つの意味を持つようになったようだ。
もっと遡ると「太った大きな豚」だそうだが(お腹が垂れ下がっているから)。

何にしても衣服と強いご縁のある言葉なのだ。
エンでも フチでも ピンと来る方で読んでもらいたい。

葛布半幅帯地『縁』

赤のぼかしは縁のほんの数センチなのだが、全体的にぼんやり赤く見えるのは目の錯覚か、カメラのせいか。
縁(フチ)以外は全体的には濃いめのグレー、斜めから見ると経糸の藤染めの緑が見え隠れする。片方の端は緯糸に少し明るいグレーを使い、両端で微妙に色味が異なるようにした。締めた時に重なり合う色の濃淡に表情が出ることを期待して。

葛布半幅帯地『縁』

厚地で硬い帯の多い現代では心許なく感じられるかもしれないが、ハリがあるので見た目より頼りがいがあり、単(ひとえ)でも問題はないと思う。長時間の着用や日常使い、蒸し暑い時などにも体への負担が少ないと思います。
(参考記事:『単の半幅帯について』)

こちらの帯地はご依頼を受け制作、お客様のお手元へお届けいたしました
誠にありがとうございます。

末長くご愛用いただき、持ち主様の暮らしを彩りますように。

座繰り糸 赤麻染めと藤染め
経糸 座繰り糸 (左:赤麻染め  右:藤染め)

緯糸 葛 手績み糸(北海道札幌市)
経糸 絹 座繰り糸(群馬県安中市)
染め 赤麻、藤、ラックダイ
  四寸二分(約15.8cm)
  九尺九寸六分(約376cm)

後にこの帯地のご依頼主様が縁を「えにし」とお読みくださっていることを知り、深く感銘を受けた。(2025-11-13追記)