oykar 八寸帯地

oykar 八寸帯地

『じゃがいもポテトくん』(長谷川義史)は、私の好きな絵本の一つ。泣く泣く生き別れた家族が、幸せな食卓でめでたく再会する。しかし人間様にすぐさま食べられる運命という、何ともシュールな物語。

それに着想を得て、制作したのがこの一本。「オイカラ」はアイヌ語で「葛」。といって、葛をアイヌ民族が利用した形跡は、どれだけ調べても全くありません。このことは、葛は本州から持ち込まれ、本来北海道にはなかった植物なのではないか、と私が考えている根拠の一つです。しかし、その生育力は驚異的で、多分とても目立つ植物だったのでしょう、それで名前がついた。

葛の蔓から取られた緯糸と、
葛の葉で染めた経糸で織られた布に、
葛の根から取れる澱粉で糊がけされた

離れ離れだった家族が、布の上で再会しました。
この家族は、食べられることはないので、末長く、一緒にいられることでしょう。

縦方向の微妙な縞模様は、経糸の絹糸の緩やかな太さの変化による

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緯糸 葛 手績み糸(北海道札幌市)
経糸 絹 座繰り糸(群馬県安中市)
染め 葛葉
巾  八寸一分
丈  一丈三尺九寸