
葛布 八寸帯地 「紫葛」
自宅庭のノブドウの剪定枝葉で染めた糸を経緯(タテヨコ)に主に用いた。タイトルはその昔ノブドウを「紫葛」と呼んでいたらしい事に因む(※)。おそらく読み方は「ムラサキカヅラ」、その名の通りノブドウは茎が紫色の「葛(ツタ・カヅラ)」なのである。
染め方によっては紫色を出す方法もあるのかもしれないが、今回は鉄媒染で淡いグレー、ノブドウの特徴である実の色を表したく、経に細く細く紫・青・緑を忍び込ませた。

いつもながらお太鼓表側の葛の糸は生成り、内側にノブドウ染めのグレーで、内側が濃い仕様。もちろんリバーシブルでお使いいただけます。生成りは前帯で一旦グレーに切り替わり、手先手前で再び生成りに戻ります。



メタリックな光沢と適度なしなやかさのある、触り心地の爽やかな布となっております。
経糸 絹座繰り糸(群馬県 ぐんま200)
緯糸 葛手績み糸(北海道 サッポロノクズ)
寸法 八寸二分 × 一丈三尺四寸
重さ 約185g
制作 2025.6 作品No.60
参考文献
(※)「渋江長伯一行の蝦夷植物採薬紀行『東蝦夷物産志』を読む」、北方植物資料研究会編著、クスリ凸凹旅行舎、2024年、p108-109