葛布八寸帯地/経絣・格子『楓』 

イタヤカエデの枝葉で染めた座繰り糸と葛の糸を主軸に
イタヤカエデの一生や季節を通しての生き様のようなものをイメージしながら織った八寸帯地です

ご依頼主様から 樹齢400年のイタヤカエデに季節を通して会いにいくというお話を伺っており、そのことは今回の制作のきっかけにもなりました
樹齢400年とは 想像もつきません
私も制作前に見に行きました

推定樹齢400年のイタヤカエデ

春 芽吹き前の木肌はとてつもなく荒々しく 大きなコブをいくつも纏い重々しく存在する姿に思わず涙 ちょっとビックリして呼吸するのを忘れるような感覚
ちなみに同季節の我が家(兼作業場)の庭のイタヤカエデはこんな風で

赤ちゃんです

前置きが長くなりましたが こちらがお太鼓柄

お太鼓

写真奥は手先 左右で色が違うようにしました

手先のグレーとお太鼓のグレーはどちらもイタヤカエデ染めですが微妙に色が違うのは 採取してすぐに染めた色(お太鼓)と、乾燥させて一冬越した枝葉を染料にした色(手先)の違いです

お太鼓裏はイタヤカエデの葉のように オモテより薄い色で
格子ではなく縞模様

お太鼓裏
お太鼓裏詳細

所々に入る赤はイタヤカエデの春の芽吹きの葉の色 黄色は秋の紅葉の色

400年もの年月を生きるイタヤカエデのゴツゴツとした佇まいを少しでも取り込みたくて 黒に近い茶の太めの節糸も入れた これもイタヤカエデ染め

経糸の節と 緯糸の葛の糸の結び目が 程よく格子状に混ざり合う
生成りの葛の糸の結び目は 白く浮き出て雪のようです

前帯部分はこの辺り 色が交互に切り替わります

前帯部分

絣の糸の色の切り替わり
写真上部は白地に濃い色の格子、下部は濃い色の地に白い格子

絣の糸の色の切り替わり

経糸の座繰り糸は太さや種類など違うものを4種類使っています
太い節糸以外はパッと見た目に分かるものではありませんが、布としての表情に深みを出している それは 様々なものを内包し厳しい自然を生き抜く 生命そのものにも思える

手先部分詳細
前帯部分は一巻き目にも色の切り替えを入れているので 締めたときに少し上下にずらすと柄が出て面白いと思う

見た目のモノトーンとは裏腹に 色、柄、糸の種類が多く複雑に入り組んでおり、見る角度や光の加減によってもその表情は違い、見る度に新しい発見がある
ご依頼主様のご意向とイタヤカエデの生きる姿に励まされ 大変面白く深みのある布となりました

全てに感謝

緯糸 葛 手績み糸(北海道札幌市)
経糸 絹 座繰り糸(群馬県安中市)
染め イタヤカエデ 、ふきのとう、藤、赤麻 + 生成り
  八寸三分(約31.5cm)
  一丈三尺五寸(約510.3cm)

経糸太さ種類 210中平糸、210中偏差糸、300中節糸、200中節糸
経糸密度 60本/寸(片羽)
緯糸密度 14〜16本/cm

葛の繊維(イタヤカエデ染め、藤染め、生成り)
座繰り糸(イタヤカエデ染め、ふきのとう染め、赤麻染め、生成り)

染料と糸の関係で制作できる季節が限られ、また、素材と染料と織り手の特性上、全く同じとはなりませんが 同様のものの制作は可能です
お気軽にお問い合わせください