経も緯も全く染めない生成り無地 blanc
5作目
凛として他を寄せ付けないのに何色にも染まる
懐の深いような それでいて緊張するような
白とは不思議な色です
フランス語で「白」を意味する「blanc」という言葉の響きとスペルの雰囲気がかねてより好きだったので、「blanc」と名付けました
余白、ゆとり、空白
これはblanc 1作目の時に書いた文章
白とは不思議な色 今もそう思う
そもそも、白は色なのだろうか?
例えば雪は白いが それはおそらく、太陽光を部分的にしか捉えられない人間の目に白く見えているだけであるし、そのことは置いておいても、人間の目にも、太陽の加減でいくらにでも色が見える
こんな色にも
こんな色にも見える
太陽の光が届かなければ、モノクロームな世界
これは白と言えるだろうか
今回、経糸に、特別に平らに繰っていただいた糸を使っている。以前、私の織った葛布を見て、作ってみたくなったと作ってくださった。葛の糸の光沢がより生きるのではないかと
相変わらず写真では全く伝わらないが、生成りの白さと相まって、葛と絹の放つ光沢というか息遣いというか光というか とにかく思わず息をのむ輝きである
それに肌触りが違う 言葉では言いようがない
この糸は前にも使っていて、その時もすごかったが、今回もすごい
なんだかんだと褒めちぎることができるのは、これは、私が作ったものだけど私が作ったものではないからだ。このことは他の全ての帯に言える
これをご覧の皆様にも、いつかぜひ、実物をご覧いただきたいと思う
この帯地はご依頼を受け制作いたしました。
この度のご依頼主様は岡山県の 染と織たかはし 様。
誠にありがとうございます。
持ち主様の暮らしに合わせて、何色にでも染まり、彩りますように。
緯糸 葛 手績み糸(北海道札幌市)
経糸 絹 座繰り糸(群馬県安中市)
染め なし(生成り)
巾 八寸一分
丈 一丈三尺六寸
尚、blancシリーズ制作の新規ご依頼は現在受付しておりません。
何卒ご了承くださいますよう、よろしくお願いいたします。
生成りをベースにした帯地の制作は続けて参ります。