六寸帯地、色合いは我が家の苧環と、植物を育む空、水、土。
苧環は花をつけるまでに数年かかる。タネを植えたことを忘れていて、あるいは知らぬまに、突然花が咲くのでいつもびっくりする。限られた環境とその定めの中でただ生きるためだけに生きる植物がそうであるように、各所、必然性と偶然性の同居、そして状況(環境)に応じて変化する様子を表すことを試みた。
和名「苧環」とは、糸や織りと縁(ゆかり)のある名前でもある。トウを伸ばして咲く姿は凛として、こちらも思わず背筋が伸びる。
お持ちの夏着物や浴衣に合う色合いで、柄が移り変わっていくような、締め方によって色々な柄を出せるような、全体として風変わりな帯を、というテーマを頂いての受注制作です。
合わせるお着物によって明暗を使い分けることができるように、色合いの明るいところ(生成りの面積の多いところ)と暗いところ(色の面積の多いところ)を意図的に配置した。六寸帯という性質上、そうは上手くいかないかもしれないが、色々試しながらお楽しみいただけますと、嬉しく思います。
ご縁に心から感謝いたします。
どうぞ末長くご愛用いただけますように。
苧環/aquilegia 六寸帯地 葛布
経糸 絹 座繰り糸(群馬県/ぐんま200)
緯糸 葛 手績み糸(北海道)
染め 藤、メマツヨイグサ、藍、ラックダイ、蕗の薹 / 生成り
巾 六寸一分
丈 一丈一尺一寸七分
重さ 約125g
2024制作